徐々に新しい環境にも慣れてきております。
外来患者診察対応にも余裕が出てきました。
病院の課題点にも気付き、その解決策についても
考える事が出来始めております。勿論、簡単にはいかない
事も多くあり、インストラクション同様に模索していく必要を感じます。
医者の世界も色々とあります。が、患者さんのサイドに立って考える
事が出来れば、道を誤る事は無い!と信じて突き進もうと考えます。
昨夜は当直。
昨日午前に94歳の女性が入院しました。
嘱託の施設に入所している方です。
病院医師が定期的に回診しておりますが、私は毎週金曜日の回診で、
7月入職の私は未だお会い・診察しておりませんでした。
具合が悪いという事で、外来を緊急受診してもらったところ、
下肢にチアノーゼ。呼吸促迫。血圧70/、体温38℃
どうやら消化管出血を起こした様子です。が、日常生活動作は寝たきり
全介助状態。意思疎通不能で、訴える事もありません。
尿路感染を起こしている様子で混濁。嘔吐による誤嚥もしている様子です。
糖尿病・腎不全もあり。脱水、感染、消化管出血・誤嚥が加わり、瀕死の状況です。
採血検査は勿論、点滴の確保も困難な状況で、取り敢えず入院。
酸素投与、辛うじて点滴を確保しましたが、何時そのルートが破綻しても
不思議無い状態です。
ご家族に連絡し、お話したところ、「自然のままで、無理な事はしない!」という御希望でした。
聞けば、2か月前に入院した際にも誤嚥の危険性が高く、本来経管栄養を希望しなかったが、
日頃看病していない家族が「経管栄養希望」を伝えた事で、胃管挿入の上、栄養管理・退院・
施設再入所となったそうです。
胃カメラは勿論、血管確保の為の中心静脈穿刺や血圧低下の際の昇圧剤使用も希望せず。
「自然の経過に任せたい。点滴が漏れたりしたら、それで終り。」という覚悟でした。
お話した息子さんも77歳。もうこれ以上は苦しませたくない気持ちが本音でした。
医療の進歩!と勘違いし、中途半端な延命治療・蘇生を行う事が医療。体中をいじり回し
検索。抗癌剤治療により死期を早めるような状況を医師がミスリード。悪戯に患者さんご自身、
ご家族を苦しめるのでは、誰の為の医療なのか?!解りません。
専門医という免許を自慢するような医者もおりますが、手術もせず、誰の為、何の為の
専門医なのか!?それともペーパードライバー???
林修先生(今でしょ!)の、東大合格者に向けてのメッセージをTV番組で聞いた事があります。
「皆さんが東大に入るために使った能力は残念ながら今後の人生で使うことはないでしょう。
東大に入ったからといって保証されているものはありません。二度と抜かない刀を自慢して
生きるつまらない人生は送らないで下さい。」
医師である前に、一人の人間として、心身で寄り添えるものになりたいと感じます。
その患者さんとのお別れ、幕引きの瞬間が近づいてきているのは間違いありません。
ご家族に看取られて、良い人生だったと感じてもらえる事が大切な事でしょう。
心穏やかに、苦しむことなく、最期に「ありがとう」と言って貰えるようにお手伝いしたいと
心底思い、当直明けの朝を迎え、今日一日過ごしておりました。
日頃から、ご家族で万一の緊急事態の際の対処法について、話をする必要を感じます。
今日は娘も帰省しておりますし、今夜は家族で話し合いをしたいと思います。
- 2014/07/18(金) 19:44:56|
- 日々の診療徒然
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