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キクイモ医師のつぶやき

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当直明け。再び『死』辛い別れについて考える


当直明けです。朝4時前に起こされた為、少々眠い!

1月30日、4週間前の朝入院した85歳の女性。診断は大動脈弁狭窄症
によるうっ血性心不全。昨年末から体調が悪かった様子でしたが、
認知症の御主人との老老介護。お正月を自宅で!の想いから入院拒否。

入院したその日から、利尿剤を時間排尿量により投与。
3日間で6000mlと治療に反応、効果を観て改善。食事も摂取可能となり、
3週間後の2月18日。元気に退院となりました。

しかし、年齢的に人工弁置換術の手術は無理。塩分摂取に注意、
御主人の介護に無理はさせないように!等とご家族に説明し、且つ
心臓の機能低下が著しい為、突然死の危険性についてもお話しました。

しかし、帰宅後食欲が低下。2~3日後にはほんの一口しか食べられなかった
様子でした。先週土曜日に病院に連絡したそうですが、私ともう一人の医師
(入院中主治医)が不在であった為、家族の判断で、自宅で経過を観察してたそうです。

昨日午前、救急車で再入院となりました。診察してみると、高度の脱水でした。
胸部レントゲンでは、心不全はありませんでしたが、血液検査では、脱水と
急性腎不全でした。入院し、点滴しましたが、徐々に意識障害が進行。

午前4時半過ぎに亡くなりました。

御家族は前回同様に改善を期待した感もあるでしょうが、一度は家に帰れた事に
感謝されて帰宅されました。

ご冥福をお祈り致します。


85歳というと、私の父母と同世代。毎週代診の際に両親の様子を見に行っております。
自身に置き換えると、徐々に年老いていく父・母。歩くのにも時間が掛かり、厳しく
時に恐ろしささえ憶えた子供時分の面影は無く、最近の穏やかになっている様子を
こちらは少々寂しくも感じております。

著書を出版した際、父に何と言われるだろうか?!と心配しましたが、
(本来、学者肌の父は否定的な意見を持つのでは・・・?)
隅から隅まで読み、一言「良く出来ている。医者になって本当に良かったな!」
そして、「新聞記者なりたい」言う私の次女(孫)に向って「医者も良いぞ!
新聞記者なら、本を書けるようになりなさい」等と言い出す始末。

先日の講演会でも、本来は私の診療日でしたが、二つ返事で代診の代診?をしてくれました。
そして「こんな大切な機会なのだから、しっかりやって来い!」

準備に慌てていると、「大丈夫、今迄の蓄えがあるのだから!」と激励をくれました。

大変心強く思いつつも、やはり余りにも理解があり過ぎると少々不安が過ぎります。

最近の父の体調変化を察した為、友人の父の主治医に急遽、再来週の検査を依頼しました。
87歳現役医師です。昔はスポーツマン。絶対大丈夫!と信じますが、やはり徐々に
衰えている姿は止むを得ません。この3年で3回入院しておりますし・・・。


私が勤務する病院で共に働くS先生とお話しました。父の友人、1歳年上でお元気です。
カラオケ、作詞、英会話、書籍執筆、はたまたパソコンにもチャレンジしようという88歳です。

ゴルフは『エイジシュート』(年齢と同じスコアでラウンド)を今年はやり遂げると、週2回は
練習、ラウンドしているそうです。

S先生に父の体調と私が持つ不安についてお話すると、大層ご心配とアドバイスを頂きました。

そして、最後に「先生はお元気ですよね!?」と感心したところ、

「色々楽しく、やる事があって、死んでいる暇が無いんだよ!」
そして
「自分よりも若い友達を持つと、刺激がもらえるし、運転出来なくなっても代わりに・・・。」
と、ペッロと舌を出しました。

そして、御自身が死ぬ事に恐怖は無いそうです。

仏様に所へ行けると思うし、そうならなくても亡くなった父母の所へ戻ると信じている。
元々の場所へ帰るのだから!と仰ってました。

以前読んだ本に、癌の子供が死の恐怖に怯えている際、「貴方はサナギから蝶々になるの。」
という話が出ていました。子供だけでなく、大人でも未だ見ぬ世界に恐怖を覚えます。

そう考えると、今をしっかり生きる大切さをより感じられるかと。誰でも『死』にます。
医療が進歩しても、不変の事実です。やはりどう死ぬかよりも、どう生きるか?なのでしょう。

身内の死は勿論悲しい別れになりますが、ある意味現状を受け入れ、しっかりとした覚悟を
持つ必要があるのでしょう。

少々哲学的な堅いお話になりましたが、
昨今のニュースで騒がれております、ヒトの命を軽んずる若者達には是非考えてもらいたい。
そして、これからの日本を背負って立つ若者が共に手を取りつつ健康で一所懸命に生きて欲しいと
思います。







  1. 2015/02/27(金) 19:17:57|
  2. 日々の診療徒然
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Author:キクイモ医師
栃木県で勤務する内科医です。糖尿病を主とし臨床経験四半世紀を経過しました。
糖尿病の他、生活習慣病の増加、玉石混交のサプリメント市場、現在の医療・介護の問題等日々の出来事から感じた事柄などをつぶやいていきたいと思います。宜しく!

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